Dsb2023coll-denshi
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第1部図1.1:社会の発達とSociety 5.0への流れ21世紀に入ると、様々なセンサーやコンピュータネットワークの発達により、膨大なデータを集めることが可能になりました。たとえば商品の購入情報、Webの閲覧情報、個人の位置情報などです。また、計算機性能の向上により、膨大なデータを短時間に処理できるようになりました。これらのデータを分析し、パターンの抽出や将来予測に活用することが可能になっています。ビッグデータを資源として活用することにより、GAFA(Google, Amazon, Facebook/Meta, Apple)、BAT(Baidu, Alibaba, Tencent)などの企業が急成長し、その総資産は石油産業、自動車産業などを凌駕しました(第4次産業革命)。この革命はデジタルトランスフォーメーション(DX)とも呼ばれます。2020年には第5世代の情報通信サービス(5G)が始まり、より多くの機器がインターネットにつながるIoT (Internet of Things)の時代が到来しています。現在は、情報社会(Society 4.0)から、サイバー空間と現実空間が融合し、ロボットや人工知能が活躍する新たな社会(Society 5.0)への移行期にあります(図1.1)。データサイエンスとはデータに基づいて新たな知見を得るための科学のことです。実験データや観測データを数理的に解析して知見を得ることは科学研究の基本であり、得られた知見を活用することによって科学技術が発達してきました。計算機と計算機ネットワークの発達にともなって、膨大なデータを活用する社会が到来し、データサイエンスへの需要が高まっています。4データ駆動型社会の到来人間の社会は狩猟社会(Society 1.0)から農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)へと変化してきました。18世紀には蒸気機関が発明され、軽工業が機械化されます(第1次産業革命)、19世紀後半には石油、電力、重化学工業などが発達します(第2次産業革命)、20世紀末には情報技術に支えられてインターネットによって世界が結ばれ、情報社会が到来しました(第3次産業革命)。データサイエンスとその応用

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